2023-07-19

204号「居合道だより」から抜粋

福岡県 教士八段 K先生よる「居合道だより204号」寄稿文を転載します。

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武道の要諦は「一眼二足三胆四力」と言われます。
そしてその動きの基(土台)となるも のは腰・腰構えです。
よく師匠や先生に「刀を振るうとき、手でなく腰で切れ」と指導されます。

「腰」は字体の通り上体と下半身をつなぐ体の最も要(かなめ)となる部分です。
日常の起居動作・立居振る舞いのすべての動きの基(もと)が腰にあります。
しかし、この腰は姿勢が悪いとすぐ痛みます。
そうです、国民病ともいわれる腰痛です。
かく言う私も悩ん だ者の一人です。

人は四足歩行から二足歩行に進化した時から腰痛との付き合いが始まったといわれています。
ゆがんだ姿勢や長時間の立ち作業、生活習慣などなど「腰」は日々のストレスや負荷にさらされています。

正しい姿勢は心の健康にも大きく影響します。
居合道人としての私たちは、その立居振る舞いが凛として武道の動きに叶ったものが求められます。
今回はその中 で基本となる骨盤を立てることを考えてみましょう。

★骨盤(仙骨)を立てる・・・ 正しい姿勢は背筋を伸ばすことでなく骨盤を立てること 「腰」に関して興味のある方は専門書を、武道に関しての腰構えは別にします。
諸説ありますが、一番実行しやすいのがこの方法です。(以下、各人の身体的特性もありますので参考までに)

1. 立ち姿の姿勢・・・いわゆる「気をつけ」の姿勢ではない!
①仙骨下部をキュッと前方に押す。

②その他の位置はそのまま、両足の親指、小指、踵に左右均等に体重をかける。
頭は 肩の上に位置して、頤を引き、骨盤の上に垂直にする(鼻も臍も一直線上に)。

③ 首を伸ばし、肩を落とす。下腹部は引っ込む感じになる。

④ 反り腰(出尻り)を、仙骨を立てることと勘違いしない。・・・この動きの間違いが多い!

⑤ 骨盤底筋を意識する。・・・尿を途中で止めるとき力が入る部分。

⑥ お尻を締める。・・・左右のお尻を中心に寄せる感覚である。

2. 椅子に座る姿勢
① 椅子に腰を下ろし骨盤を立てる。
やや深めでもよいが、背もたれにもたれない。

②立てるといったイメージが分かりにくい場合は、お尻と太腿の境目に体重を乗せ座骨で座る。
座骨とは床にゴリゴリ当たる部分である。

③ 耳、肩、股関節大転子(大腿骨外側の出っ張り)が真っ直ぐ(垂直)になるように座す。

④立ち姿も一緒ですが、頭が糸で引っ張られているように上半身を伸ばす。

3. 吐く息に集中し、リラックスする呼吸法を行う。
深くゆっくりした呼吸は健康への 近道である。

★森信三先生のお話
骨盤を立てれば背骨がしっかりして正しく動き、神経伝達がしっかり行われ病気に罹りにくくなり、自然治癒力が高まります。
毎日少しずつでも実践して良い健康状態を保ちましよ う。
終わりに戦後の教育界(学問と実践)の泰斗である故森信三先生が、腰骨(骨盤)立て ることを何よりも重視されたお話のくだりを紹介します。
含蓄に富んだお話です。

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しっかりした人間になる手始めは、まず二六時中腰骨をシャンと立てることです。
それには 要領(一)まず、お尻をウンと後ろに引き、 要領(二)つぎには腰骨の中心を、ウンと前に突き出すのです。
要領(三)最後に下腹に力を入れて持続すること。そうすると、肩の気張りがとれ、全身の力が臍下丹田に収まって、上体がごく楽になり、ドッシリと落ちついた人間になれます。
このような姿勢を、一日中つづけることによって、われわれ人間には、注意の集中力と持続力が身につき、その上さらに、判断力も明晰になるのです。
否、そればかりか、一だんと行動的実践的な人間になれます。
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